2010年06月20日

身体の「ゆがみ」?

お客さんによく聞かれるのが、
「からだが何処か、ゆがんでますか?」とか
背骨がゆがんでいますか?」とか
骨盤がゆがんでいますか?」とかいうことです。
あるいは、「◯◯で、骨盤(or背骨orからだ)がゆがんでいると言われたのですが、~。」
とおっしゃる方もよくいます。

身体の「ゆがみ」?





(写真は本文中のお客さんとは関係ありません)

しかし、私には、背骨や骨盤や身体がゆがんでいるって、
「???」って感じで、意味がわかりません。

そこで、私がよく説明するのが、
「ゆがんでいるって言えば、ゆがんでいるかも知れません。
でも、そんなことは、問題ではありません。」ということ。

人の骨には、左右1対あるものがあるし、
脊柱(いわゆる背骨のこと)や仙骨頭蓋骨のように、
左右の真ん中に位置するものもあります。
しかし、これら人の身体の骨で、
左右が鏡像のように完全な対象形なっているものはありません

例えば頭蓋骨をみれば、
左右の目の穴も、顎の骨の左右の形も、
細かくみれば同じ形にはなっていません。

骨は、まったく形を変えないものではなく、
日々少しずつ細胞が入れ替わっているもので、
骨に力のかかる部位・大きさ・方向の違いによって
数週間・数ヶ月単位では形が変化するものなのです。
骨にかかる力とは、動かしたり支えたりする対象の重さであったり、
筋肉の引っ張る力だったりしますが、
人間は身体を左右対称に使ってはいないので、
右と左ではかかる力が違い、
それが骨の形の非対称性を生んでいる
のです。

それに加えて骨を覆う筋肉の発達の違いによって、
なおさら左右の形の不均衡を生んでいます

(顔の左右の中間に鏡を置いた時、
右顔面を映してできた顔と左顔面を映した顔とでは、
ずいぶんと違った顔になりますね。)

でも、それが普通の人間の身体なのです。
左右の不均衡を「ゆがみ」と言うのなら、
すべての人間は、ゆがんでいるのです


私は、そんな小さなゆがみは問題ではないと考えます。
構造的に何らかの症状を引き起こす、
そんな「病的」なゆがみ以外は問題にする必要がありません



私は、整形外科的に明確に脊柱側弯症と診断される
マラソンランナーを知っていました。
彼は、その身体であっても
日本の実業団のトップランナーで、
マラソンを2時間9分台で走ったことがあります。

ほとんどの日本人は、
脊柱側弯症ほどの「ゆがみ」を持っていません。
誰もが持っている小さな「ゆがみ」は、
骨格の構造が固定的に身体の機能異常を
引き起こすという代物ではありません。

一方、
筋肉や関節に、凝りや痛み、重苦しさなどを感じ、
姿勢や動きを見ると確かに左右バランスが悪い、
そんな身体の『ゆがみ』を感じさせる方も多いことは確かです。
しかし、その原因は、骨格系の異常(ゆがみ)であることは
少ないのです。

骨格はそれ自体は、動きもしないし力も生み出しません。
筋肉が働いて(収縮して)、
骨に力かかり、骨がその力を他へ伝えた時
初めて骨格(骨・関節)が動くのです。
個々の骨や関節の向きや位置は、
その時の筋肉の長さや引っ張る強さによって
初めて決まってくる
のです。
骨格は勝手にゆがんだりしないのです

ゆがみとは原因である前に、筋肉の引っぱりによる結果なのです。
筋肉が必要以上に緊張し、硬くなっている状態、
これこそが多くの問題を生んでいるのです

(筋肉の緊張異常が生み出す問題については、
別の機会に書きたいと思います。)


どうか、「ゆがみ」という言葉に幻惑されないで下さい。


同じカテゴリー(人の身体について)の記事画像
腹横筋、内・外腹斜筋をエコー画像で観察する
筋は縮むことしかできない/筋の生理
同じカテゴリー(人の身体について)の記事
 腹横筋、内・外腹斜筋をエコー画像で観察する (2017-10-15 14:27)
 面白いテレビ番組 (2011-02-05 11:57)
 筋は縮むことしかできない/筋の生理 (2010-06-20 19:55)
 筋肉の凝(こ)りと痛み (2010-06-20 18:01)

Posted by からだが資本 at 17:44│Comments(0)人の身体について
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
身体の「ゆがみ」?
    コメント(0)